FULLERVISHー蜜売家枇薬

創作落語の同人グループ・蜜売家一門より、蜜売家枇薬の雑記録です。

わたし宇宙人だからさ、そろそろ地球での任務は終わるんだ。だからさいごに、楽しいことをたくさんやってから故郷の星へ帰ろうと思っている。

とかく人間というものは難しいものだった。わたしが地球で生活するために与えられた肉体は少々不備が多かった。とくに、CPUたる脳みそに不調が多い。おかげで地球上の、この国に存在する医療用の薬剤としては非常に珍しい部類の薬のデータを入れられたことは大きいが…。

しかしいい加減うんざりだ。

地球から見える星というものは、ガスの影響で透明感に欠けていて、ただのくもった暗い空に針で穴を開けたような小さい星が見えたり見えなかったりするだけ。しかしそれらをつぎあわせて「星座」という概念をつくりだしていることは興味深い。その話はあとにするとして。

学生生活とやらが非常に楽しいらしい。なんでも、「人生の春」なんだとか。

わたしは、最後の学生生活たる四年間を過ごしたら、星がよく見える山から飛び降りて故郷に帰る。そう決めた。