FULLERVISHー蜜売家枇薬

創作落語の同人グループ・蜜売家一門より、蜜売家枇薬の雑記録です。

寝ちゃったんじゃない?

世界がぐるってまるまるってなって体はピクリとも動かない。多分これから寝るところ。眠いか眠くないかで言ったら眠いような眠くないようなよく分からない感じ、だけどこれから向かう先は覚醒ではなく睡眠。さっきなにかやり残した気がするけどそれやるのはまた明日。多分最近起きたことは明日のティーヴィーを観ればいいし、それでもダメならまあなんとかなるでしょっていう感じ。煙草が燃えるような迷惑な沈黙ももうないしだから本当の本当に独りぼっち。これはこれで困らない。明日の朝イチで隣の家のシュナイデンのお爺さんがうちに来る予定だけどそれもこれもまた明日。明日の午後にはもう少しさめてるはずだからその時にいっぺんにお願いだ、さてこれからどうする。内臓はもう眠たいって言って聞かないからいよいよおしまいだ、自分で考えるしかないって言ったらそうですって答えるしかないし、じゃあ「誰か助けて」って言えるかって言ったら最初からそんな状況あったわけがないからそんなことに堕してる暇はない。どうしようどうしよう。寝ちゃったんじゃない?寝ちゃったんじゃない?そんなこと言ってる場合じゃない。

そうなんだよ、そうなんだよ!そんなこと言ってる場合じゃない!寝ちゃってる場合じゃない!寝ちゃっても何も変わらないし何か変わっちゃっても困るっていうのは多分シュナイデンのお爺さんは言うから困る。困っちゃうなあ困っちゃうなあどうしようどうしよう。ティーヴィーを点けてもその灯りは綿あめみたいに脳みその空間を充満していくだけで脳みその構造内まで蓄積せず、どうにも為になる気配がない。会話になりそうにもないな。それは脳漿に浸って赤黒い濡れたぺちゃぺちゃした"なにか"になって充満するだけになるのだ、そして認知症を加速する、困ってしまう。だからティーヴィーはよくないのかもしれない。けれども今それは待つという試練のために否定すべき現実とは相反すべき行動の否定には必要な行為でありおそらく理には適っている。頭がおかしい。べちゃべちゃしたクッキー生地よりも理に適っている。世界はまるっとしてぐるっとしておしつけられた回転木馬の周辺情報みたいなものと化しており、自分に課された義務は数分のようで数時間のように思える厳しいものとなっている。食事を所望するがおそらく臓器は受け付けないと思う。